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silent
(カヲル)×シンジ。





静かな夜だ。
全ての音が消えてしまったかのような。
外は深い闇に包まれていた。
いつもと違うのはカヲル君がいないことだけ。
なのに世界はこんなにも暗くて静かだ。
カヲル君が僕の周りの色も音も連れて行ってしまったかのような。
一日会わないだけでこんなにも寂しいと感じるなんて。
もう寝よう。
目を閉じて、一日を終えてしまえば、次に目を開けた時には君に会える。
カヲル君に会いたい。
会って触れたい。
思いきり抱き合って、キスをして、そして――
その先を考えて体が熱くなる。
こんなこと考えるなんておかしい。カヲル君の変態が移ったんだ。きっとそうだ。

駄目だ、寝られない。
寝るには気持ちが昂ぶりすぎていた。
一人でシようか?
そんな考えがよぎった。
いや、止めよう。
カヲル君のことだから、きっと僕が一人でシたかなんてわかってしまう。
でも、寝られそうにない。
止めようという気持ちもあるのに僕はもう止められる状態じゃなくなっていた。
ズボンの上から触ってみたソコはもう熱くなっていた。
このまま熱を解放しなければ寝られない。
僕はズボンに手をかけた。

突然部屋の中に着信音が鳴り響いた。
音のない世界に突然音が入ってきたことで、びくっと体が震えた。
ディスプレイを見なくても電話の相手が誰かなんてわかる。
けれど、直前にやろうとしていたことは何だかやましいことだと思い、一旦落ち
着くためにもディスプレイを見た。
やっぱり――

「も、もしもし?」
「やあ、シンジ君。こんばんは。夜遅くに電話してしまったけれど大丈夫かい?」
「全然、大丈夫だよ」
「なら良かった。今日は何をしていたんだい?」
「今日は時間があったから、布団を干したり、普段片付けられないところをちょっとした大掃除してみたりしたよ。カヲル君は?」
「僕は一日起動実験とかかな。今更こんなものに意味はないのにね。シンジ君、僕がいなくて寂しくなかったかい?」
「だって一日じゃないか。平気だよ」

行く前に一日くらい大丈夫だと言った手前、素直に寂しいだなんて言えなかった。
何もしていなかったら、カヲル君は何をしてるかな、と思ってしまうから、家事をして誤魔化していたなんて言えるわけがなかった。

「そうかい? 電話に出たシンジ君の声、嬉しそうに聞こえたけど……」
「それは……」
「素直に言ってもいいんだよ? 僕も寂しかったからね。帰ったら一番に君に触れたいな。思いきり抱き合って、キスをして……」
「うん、そうだね」

僕と同じことを思ってくれていて、ちょっと嬉しくなって、素直に同意する。

「そして君とひとつになりたいな」
「あ、いや、それは……」
「君も同じだろう?」
「僕はカヲル君とは違うよ。別にしょっちゅうそういうことばっかり考えてるわけじゃないよ!」
「でも、さっきまで考えていたんだろう?」
「何で……」

今一番見透かされたくないことを言い当てられて、動揺を隠し切れなかった。
これじゃあ、肯定しているみたいだ。
そして、カヲル君もそう受け取ったようだ。

「君のことなら何でもわかるさ。電話に出たシンジ君の声は嬉しそうだったけれど、少し焦っていたからね。電話に出るタイミングも少し遅かったし、何か隠してると思ったのさ。泣いていたか、一人でシていたか……。でも元気そうだったし、泣いている素振りはなかったから、そう思っただけさ」
「カヲル君って何か探偵みたいだ」
「そう? なら、君の依頼でも受けようか」
「依頼なんてないよ」
「その熱を解放してあげるよ」
「えっ、いや、探偵の仕事はそんなんじゃないと思うんだけど」
「現代の探偵なんて何でも屋みたいなものだろう? 胸のすくような推理ショーを披露したりはしない。僕は君だけの何でも屋だよ」
「でも……」
「さぁ、僕の言う通りにして。まずはズボンを脱いで。下着はつけたままでね」

言われた通り、ズボンだけを脱いだ。

「そのまま下着の上からソレを扱いてごらん」
「ん……」

優しく扱いていくと、段々と勃ち上がってくるのがわかった。
先走りで少しずつ湿ってくる。

「あ……もうちょっと……強いのが欲しい……」

下着の上からの刺激じゃ満足出来なくなってきて、さらに激しいのを求めてしまう。

「なら、下着も脱いでいいよ」

許可が出たことで、下着を脱ぎ、直接刺激を与えていく。

「ふぁっ……いいっ……」
「まだイっちゃ駄目だよ」
「で、でも……んんっ……」

早くイきたくなって、段々扱く速度が速まっていく。

「はぁっ……もう、イきたいぃっ……!」
「まだ駄目だよ」
「ふぁっ……何で……もっ……無理ぃっ……!!」

もう自分の力じゃセーブ出来なくなって、僕はイった。

「まだ駄目だって言ったのに……いけない子だね」
「あ……、ごめん……なさい」

って何で僕が謝ってるんだろう。

「ちょっと待ってよ。雰囲気に流されちゃったけど、僕はこんなこと頼んでないよ。第一何で僕だけ……こんな恥ずかしい……」

今思えばすごく恥ずかしいじゃないか。
ああ、何で雰囲気に流されちゃったんだろう。

「シンジ君だけじゃなくて、僕もすればよかったのかい?」
「そういう意味で言ったんじゃ……」
「だから、まだ駄目だって言ったのに。君の声に興奮して、僕もシたくなったからね」
「そうなの?」
「何ならもう一回するかい?」
「無理だよ、もう……」
「でも、元々そのつもりで電話したんだし」
「元々そのつもりで……?」
「もちろん一番はシンジ君が心配だったからだよ」

嘘臭い。
そんな取って付けた様に言われても信用出来ない。

「何でカヲル君はしょっちゅうそういうことばっかり考えてるのさ!?」
「しょっちゅうそういうことばっかり考えてるわけじゃないさ」
「そういうことばっかり考えてるから、電話してきたんでしょ!?」
「シンジ君……」
「カヲル君と話すことなんてないよ。もう電話切るから!」
「シンジく……」

僕は一方的に電話を切った。
酷いよ、カヲル君……。
でも、僕も電話の直前までそういうことを考えていたわけだし、頼んでないけど僕の思い通りになったわけで……。
ちょっと悪いことしちゃったかな、とも思う。
でも、やっぱり恥ずかしかったから、カヲル君の熱を解放してあげなかったのは、ちょっとした仕返しみたいなものだ。
それくらいいいよね。
落ち着いたら、また静かな夜を感じた。
これが嵐の前の静けさじゃないといい……な。















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探偵に謝れって感じですが……名探偵エヴァを見ていると探偵って何だかわからなくなる不思議。

H22.12.22



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